政府は17日、自動運転の制度整備大綱を決定した。自動運転車の導入初期段階である2020~25年ごろに公道で一般車と混在する「過渡期」を想定し、
関係する法制度の在り方などを提示。物流サービスの実現に向けては、高速道路でのトラックの隊列走行、自動運転に重点を置き、
後続車を電子けん引する際のガイドラインの策定、単独走行のトラックが他車に追随して走行する場合の技術的要件などを検討する。
運送事業に必要な事業許可の要件・手続きについては、現行の枠組みを踏襲する方針だ。(田中信也)
同日開かれた高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部(IT戦略本部)で承認。大綱では、まず自動運転のレベルについて
、科学者やエンジニア、航空機・自動車業界関係者で構成する世界的組織、米SAEインターナショナルによる6段階(0~5)の定義を採用。
レベル3(条件付き運転自動化)以上を「自動運転システム」とし、大綱の対象範囲に位置付けた。
その上で、自家用車、物流サービス、移動(旅客輸送)サービスの各分野に分け、対象を規定。物流では、実証実験中の「高速道での隊列走行」
(レベル設定無し)に加え、高速道など一定条件下で自動で認知、判断、操作を行い、作動継続が困難な場合に運転者が対応する「高速道での自動運転」
(レベル3)を検討対象とする。また、技術開発の進展を踏まえ、関係省庁が連携し、自動運転向けの安全基準と走行環境条件を設定する。
物流サービスのうち、22年に商業化を目指す隊列走行では、現行のけん引手法を基準とし、電子けん引する際のガイドラインを策定。
一方、乗用車や移動サービスを含む高速道でのレベル3の自動運転に関しては、単独走行車が車車間通信を使用して他車に追随走行する場合の
技術的要件について検討する。
隊列走行以外の自動運転車については、制御システムやサイバーセキュリティー、異常警報などの安全確保策を検討し
、今夏をメドにガイドラインとして取りまとめる。このほか、国際的な議論を踏まえ、安全性を確認するための評価手法についても制度設計を進めていく。
更に、交通ルールの在り方についても、道路交通に関する「ジュネーブ条約」に関連した国際的な議論と並行して
、速やかに国内の法制度を整備。隊列走行での電子けん引の実施に当たっては、道路交通法や道路法を踏まえて車列の全長や走行速度、
運転に必要な免許、走行車線、後続車無人で電子連結が途切れた場合の取り扱いなどの対応方針を検討していく。
レベル3での自動運転に関する検討事項では、道路交通法令の規範を順守するための措置、自動運転中の運転者に許される行為と新たに課すべき義務、
ペナルティの在り方などを挙げている。
更に、貨物自動車運送事業法など運送事業に関する法制度との関係にも触れ、貨物や人を運ぶ業務を自動運転で行う場合も、
従来の事業許可に必要な要件や手続きなどの枠組みは踏襲するとした。
なお、技術の急速な進歩に対応するため、大綱は当面、半年に1回フォローアップを行い、継続的に制度を見直していく。
2018.4.23 物流ニッポンより