ドライバーさんから、事故の連絡。それはもう慌てますよね。でも一番動揺しているのは、ドライバーさんです。事業者は落ち着いて対処しなければなりません。

 

まずは当然ながら、けが人の救護活動や消防・警察に連絡をすることが最優先になります。日頃からドライバー研修などで、救護の仕方や連絡手順などを学んでおくと良いでしょう。

運送事業法的には、運送事業者は事故記録、事故報告書、日報への記載をしなければいけません。

やることは事故の大きさや社会的影響によって大きく分けて3つに分かれます。

 

1.事故の記録

どんな事故でも記録を残すことが必要です。

(貨物自動車運送事業輸送安全規則第9条の2)

 

2.事故の報告

重大な事故を起こした場合、30日以内に運輸支局に提出します。

(貨物自動車運送事業法第24条、自動車事故報告規則第3条で規定)

 

3.速報

24時間以内に電話やFAXで連絡を入れます。

(自動車事故報告規則第4条)

 

 

詳しく見ていきましょう。

 

1.事故の記録について(3年保存)

事故の記録には、下記の通りの項目を記載する必要があります。

 

  1. 乗務員の氏名
  2. 事業用自動車のナンバー
  3. 事故のあった日時
  4. 事故のあった場所
  5. 事故の当事者の氏名
  6. 事故の概要
  7. 事故の原因
  8. 今後の再発防止対策この記録ですが、ただ残せば良いというものでは意味がありません。ドライバーさんから十分なヒアリングをし、何が原因だったのか、その時の体調や道路状況などをしっかりと分析し、今後に活かすことが会社にとって最も重要なことです。 
  9. 2.事故の報告について
  10.  

事故を起こしたからといって、必ずしも運輸支局に報告しなければいけないものではありません。

 

下記の区分に該当するときは、自動車事故報告書を3部作成し、事故発生から30日以内に、自動車の使用の本拠の位置を管轄する運輸支局に提出する必要があります。

 

各号 事故の区分 事故の定義
第1号 転覆事故 自動車が転覆(道路上において路面と35度以上傾斜)したもの
転落事故 自動車が道路外に転落(落差が0.5m以上)したもの
火災事故 自動車またはその積載物が火災したもの
鉄道事故 自動車が鉄道車両(軌道車両を含む)と衝突または接触したもの
第2号 衝突事故 10台以上の自動車の衝突または接触を生じたもの
第3号 死傷事故 死者または重傷者(注)を生じたもの
第4号 負傷事故 10人以上の負傷者を生じたもの
第5号 積載物漏洩事故 積載されている危険物、火薬類、高圧ガス等の全部若しくは一部が飛散し、または漏洩したもの
第6号 落下事故 自動車に積載されたコンテナが落下したもの
第8号 法令違反事故 酒気帯び運転、無免許運転、大型自動車等無資格運転、麻薬等運転を伴うもの
第9号 疾病事故 運転者の疾病により、事業用自動車の運転を継続することができなくなったもの
第10号 救護義務違反事故 救護義務違反があったもの
第11号 運行不能事故 自動車の装置(原動機、動力伝達装置、燃料装置、車輪・車軸、操縦装置など、ほぼ全ての装置が該当する)の故障により、自動車が運行できなくなったもの
第12号 車輪脱落事故 車輪の脱落、被けん引自動車の分離を生じたもの(故障によるものに限る)
第13号 鉄道障害事故 橋脚、架線その他の鉄道施設を損傷し、3時間以上本線において鉄道車両の運転を休止させたもの
第14号 高速道路障害事故 高速自動車国道又は自動車専用道路において、3時間以上自動車の通行を禁止させたもの
第15号 前各号に揚げるもののほか、自動さ事故の発生の防止を図るために国土交通大臣が特に必要と認めて報告を指示したもの

※第7号は旅客にかかわる事故のため省略

 

(注)重傷者の定義

<自賠法施工令台5条第2項>

・脊椎の骨折(脊髄に損傷有)

・上腕又は前腕の骨折(合併症有)

・大腿又は下腿の骨折

・内臓の破裂(腹膜炎併発有)

14日以上病院に入院することを要する障害で、医師の治療(通院)を要する期間が30日以上のもの

 

報告書を提出しなければならないのか、よくわからない場合は運輸支局に問い合わせると良いと思います。

もし、直接役所には聞きにくいと言うことであれば、当事務所にご相談ください。

 

事故報告書の様式 ダウンロードはこちら

 

 

3.速報について

事故の中でも被害が大きいものや、他への影響が大きいものは、事故報告書の提出ほのか電話やFAX等で24時間以内において出来る限り速やかに運輸支局に連絡を入れなければなりません。

 

速報が必要なものは、下記のとおりです。

 

 

死傷事故 イ.2人以上の死者を生じたもの
ロ.5人以上の(注)重傷者を生じたもの
負傷事故 10人以上の負傷者を生じたもの
積載物漏洩事故 ただし、自動車が転覆し、転落し、火災を起こし、または鉄道車両、自動車その他の物件と衝突し、若しくは接触したことにより生じたものに限る
法令違反事故 ただし、酒気帯び運転があったものに限る

 

(注)重傷者の定義

<自賠法施工令台5条第2項>

・脊椎の骨折(脊髄に損傷有)

・上腕又は前腕の骨折(合併症有)

・大腿又は下腿の骨折

・内臓の破裂(腹膜炎併発有)

14日以上病院に入院することを要する障害で、医師の治療(通院)を要する期間が30日以上のもの

 

事故速報の様式 ダウンロードはこちら

 

 

事故を起こしてしまったら、その後の監査などが怖くて、報告書の提出や速報の連絡をためらってしまうかも知れません。ただ、ルールはルールです。一番大事なのは原因を突き詰め、今後に活かすことだと思います。会社の姿勢を見せる意味でも、法令遵守を徹底するべきだと考えます。