運送業許可を取得する際に、必ず満たす必要のある要件ですが、様々な項目に分けられています。
その中の一つである“営業所の要件”では、営業所を設置しても良いかどうかを判断するための立地について、細かく定められています。
その中で、設置することのできない市街化調整区域ですが、絶対に設置できないというわけではありません。
様々な条件をクリアすることができれば、調整区域でも営業所を設置できるケースがございます。
そこで今回は、運送業許可と市街化調整区域の関係について解説というテーマで詳しく解説致します。
営業所の立地要件
営業所を設置する際に、所有している土地があるのでそこを営業所にしようと思う。
このように思われる方も少なくありません。
しかしながら営業所として使用する又は設置する場合、都市計画法・農地法・建築基準法・消防法などの法令に抵触しないことが前提ですので、下記の区域に該当する場合は原則として設置することはできません。
(設置不可の区域)
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このように営業所を設置しようと思っている場所が、上記の区域に該当する場合は原則として認められません。
しかし運送業許可では、調整区域に関しては、ある条件を満たすことができれば設置することができる場合がございます。
設置可能なケースに関して、次項で詳しく見ていきましょう。
設置可能なケース
立地要件として営業所の設置不可となっている調整区域ですが、下記のケースの場合、条件を満たすことができれば認めてもらえます。
大きく分けて3ケースございますので、一つずつ見ていきましょう。
【ケース1 地目が宅地の場合】
設置予定の土地が調整区域に該当する場合でも、登記簿謄本の地目が“宅地”になっていれば設置できる可能性は上がります。
認められるものとして、下記の2つがあります。
➀宅地であること
注意するポイントとして、ただ単に宅地になってさえいれば大丈夫!と思ってはいけません。
都市計画法で、指定される前に“宅地”であることが大前提です。
自治体によって指定された日時は異なります。
また、指定される前に宅地となっていた場合、営業所を建設する事はできますが、建築規模が決められています。
- 住宅兼事務所として使用する建物を建てる際に、事務所部分の床面積が50㎡以下
- 建築物の延べ床面積の2分の1未満になるようにすること
これらの条件を満たすことができれば、建設することが認められます。
➁既存宅地であること
ここでは、調整区域に指定される前から建っていた建物いわゆる“既存宅地”の場合でも、営業所として使用することが認められています。
登記簿謄本で証明することができますので、まずは営業所の候補地が調整区域だった場合、確認を行いましょう。
【ケース2 トレーラーハウスを使用する】
調整区域の場合で、建設もNGとなった場合、他には方法がないのだろうか?と思われるでしょう。その方法として、トレーラーハウスを営業所として活用する事です。
トレーラーハウスは建築物には当たりませんので、建築基準法などの法令にも抵触しません。
ただし利用する場合、下記の条件を満たす必要があります。
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これ以外にも条件が出てくる場合がありますので、まずは市町村の役場で事前相談を行いましょう。
【ケース3 大規模な流通施設】
自治体によって扱いは異なりますが、まずは大規模な流通施設であることを認めてもらい、その上で開発許可を取ることが前提です。
開発許可を取るための要件としては自治体によって異なりますが、主なものとしては下記の通りです。
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このような条件をクリアすることができれば、開発許可が下りる場合もございます。
まずは事前の確認が大切になってきます。
まとめ
今回は、運送業許可と市街化調整区域の関係について解説致しました。
運送業許可では、様々な法令に抵触しないことが前提です。
その中でも関わりのある都市計画法が、営業所の立地要件と関係していることから、原則として市街化調整区域の場合、営業所として認められませんが、条件を満たすことができれば認められる場合もございます。
しかしながら、なかなか立地に関しての情報を確認することは、専門家でない限り複雑で難しいと思われる方がほとんどです。
営業所の候補地が調整区域の場合、まずは専門家に相談することをお勧めいたします。
何か少しでもご不明な点などございましたら、お気軽に専門家である行政書士までお問い合わせください。