トランクルームと呼ばれるものには、大きく分けると「営業倉庫としてのトランクルーム」と、主に郊外で多く見かけるようになった「レンタル収納スペースとしてのトランクルーム」の2種類のものがあります。
もっとも、倉庫業法が規定している「トランクルーム」とは、『その全部又は一部を寄託を受けた個人(事業として又は事業のために寄託契約の当事者となる場合におけるものを除く。)の物品の保管の用に供する倉庫をいう。』としています。
では、それぞれのトランクルームで許可は必要でしょうか。
1.営業倉庫としてのトランクルーム
倉庫業とは、「寄託を受けた物品の倉庫における保管を行う営業」のことをいいます。
簡単に言うと、他人の物品を、金銭を受け取って保管する営業です。
一方で、先ほど述べたように、「トランクルーム」とは、『その全部又は一部を寄託を受けた個人(事業として又は事業のために寄託契約の当事者となる場合におけるものを除く。)の物品の保管の用に供する倉庫』と倉庫業法で規定されています。
そして、倉庫業3条では、『倉庫業を営もうとする者は、国土交通大臣の行う登録を受けなければならない。』と規定しています。
つまり、トランクルームは寄託を受けた物品用の倉庫であるため、その経営は「倉庫業」にあたり、「国土交通大臣の行う登録」が必要になるということになります。
また、トランクルームが一定の基準を満たしており、優良なトランクルームとして国土交通大臣の認定を受けると、「認定トランクルーム」になります。
認定を受けた倉庫業者は、認定番号のつけられた「認定マーク」をつけて営業することができます。
認定の申請は、認定を受けようとするトランクルームごとに、次に掲げる事項を記載した申請書を国土交通大臣に提出します。
①氏名又は名称及び住所並びに法人にあっては、その代表者の氏名 ②トランクルームの名称及び所在地 ③トランクルームの施設及び設備 ④保管する物品の種類 ⑤選任された倉庫管理主任者の氏名 ⑥その他国土交通省令で定める事項 |
トランクルームの施設認定基準には、定温性能、定湿性能、防塵性能、防虫性能、防磁性能、常温及び常湿性能の各基準があります。
また、トランクルームの寄託約款の特約として、トランクルームの保管が、「標準トランクルームサービス約款」と同等の内容またはこれよりも消費者に有利な内容を有するトランクルーム寄託約款に基づき行われるものであることが必要になります。
さらに、営業の基準として、利用者相談窓口の設置と、相談者がトランクルームの営業に係る必要な知識と能力を有していること、申請者が消費者の利益の保護を図るものとして不適当であると認められないことが必要です。
2.レンタル収納スペースとしてのトランクルーム
倉庫業法のトランクルームの定義とは異なり、収納スペースだけを借りる契約をして、自由に物の出し入れを行うレンタル収納スペースとしてのトランクルームが増加しています。
このようなトランクルームの場合は、収納場所を貸すという契約になるので、賃貸借契約になります。
したがって、物の保管については、トランクルームに入れた本人の管理下にあるという点から寄託契約ではないので、倉庫業にはあたりません。
ですから、レンタル収納スペースとしてのトランクルームの場合は、倉庫業許可は不要ということになります。
3.その他、倉庫業の許可・登録が不要な業務
先ほど述べたように、倉庫業とは、契約に基づいて会社や個人の方から預かった(寄託を受けた)物品を倉庫に保管する営業のことをいいます。
したがって、この定義に合致しない条件の場合、倉庫業には該当しません。
倉庫業にあたらない例としては、以下のものが挙げられます。
①港湾運送事業において一時保管用に供される上屋 ②貨物自動車運送事業の運送契約において一時保管用に供される保管庫や配送センター ③ロッカー等外出時の携帯品の一時預かり ④銀行の貸金庫等の保護預かり ⑤特定の物品を製造・加工した後で他人に譲渡する営業、譲渡後も引き続きその物品を保管する場合も含む ⑥クリーニング業のように、特定の物品の役務(洗濯や修理等)の営業を行う場合に付随してその物品を保管する行為 |
上記のような預かりは、倉庫業の許可・登録は不要ということになります。
4.倉庫業の罰則について
倉庫業の許可・登録が必要であるにも関わらず、倉庫業の許可・登録が不要と勘違い又は故意に登録をしていない場合は、1年以下の懲役若しくは100万円以下の罰金、又は併科が科されます。
また、認定トランクルームの基準に適合していない場合で、国土交通大臣による是正命令に従わない場合等、認定トランクルームに関わる違反の場合は、30万円以下の罰金が科されます。