運送業許可の種類をそれぞれ解説

運送業許可の種類をそれぞれ解説

これから運送業をスタートさせたいと思っている方で、色々と調べてみると運送業の許可が必要なことがわかった。しかし運送業の許可には種類があり、自社にとってどの種類の許可を取得することが一番良いのだろう?

このようにお悩みの方もいらっしゃると思います。

そこで今回は、運送業許可の種類をそれぞれ解説というテーマで詳しく解説致します。

種類について

運送業の許可を取得する際に、どの種類の許可を取るかで行える運送業の内容も変わってきます。種類としては大きく分けて3種類あります。

【➀一般貨物自動車運送業】

運送業許可の中でも代表的なものと言えるのがこの“一般貨物許可”です。

軽自動車以外のトラックなどを使用して運送を行う際に必要で、別名“緑ナンバー”とも言われています。

また何社までというような決まりはなく、様々な依頼主と契約できることも魅力の一つと言えます。

【➁特定貨物自動車運送事業】

この特定貨物は1社のみと契約して、特定の荷主の貨物を運ぶ際に必要な許可です。

しかし現在は契約している会社が1社だけなので、この許可で良いと思っていても、今後のことを考えると不特定多数の荷物を運ぶ事ができる一般貨物許可を取得しておく方が、無難だと思われます。

【➂貨物軽自動車運送事業】

一般貨物では使用することのできなかった軽自動車や125cc以上のバイクを使用して、運送業を行う場合に必要な許可で、別名“黒ナンバー”と言われています。

軽貨物事業は許可ではなく“届出”を行えば認めてもらえるという点が、他の許可と違う点でもあり、一般貨物に比べて要件も少なく免許登録税も不要で、軽自動車が1台あればスタートできる運送業なので、通販事業が伸びてきている近年、大変人気のある事業の一つとも言えます。

要件について

それぞれの許可を取得する際に必要な要件を見ていきましょう。

【一般貨物・特定貨物の要件】

➀人員確保

一般貨物・特定貨物では、最低でもドライバーを含む6名の人員確保が必要です。

  • 運行管理者・・・1名 (運行管理者試験に合格した者)   整備管理者、ドライバーと兼任可能
  • ドライバー・・・5名以上(台数分の人員確保が必須)
  • 整備管理者・・・1名(整備士資格がある者または経験がある者) 運行管理者、ドライバーと兼任可能

➁欠格事由に該当しない

  • 2年以上の懲役を受けている場合、執行後5年以上経過していること
  • 運送業許可の取り消しを受けた場合、取り消された日から5年以上経過していること
  • 未成年者・成年被後見人であり、法定代理人が上記に該当しないこと

➂社会保険等に加入

従業員全員を、社会保険・雇用保険に加入させていること

➃営業所(事務所)・休憩室について

自己所有物件又は賃貸の物件であり、市街化調整区域以外の土地であること(用途地域に注意)

睡眠をとるための休憩室は2.5㎡以上の広さを確保していること。睡眠をとらない場合は面積の要件はありません。

➄車庫について

  • 自己所有または賃貸の土地であること
  • 農地でないこと
  • 車両制限令または道路幅員に注意
  • 営業所からの距離(東京23区、川崎、横浜は直線距離で20㎞以内、それ以外の関東運輸局管内は直線で10㎞以内)

➅車両について

  • トラック等の車両を最低5台以上は確保
  • 車検証上の用途が“貨物”になっていること

➆資金について

事業資金として、営業所駐車場の賃貸料・保険料・車両取得費用・従業員の給料その他経費など6〜12ヶ月分を合計した金額の資金を、所有している必要があります。

車両を新車で購入するのか、物件や土地の賃料などによっても金額は異なります。

資金を所有していることの証明は、金融機関が発行してくれる“残高証明書”で行い、2回に渡って提出する必要があります。

軽貨物運送事業について

軽自動車を使った運送業登録を行う場合に必要な要件です。

➀車両について

125cc以上のバイク又は軽自動車(軽トラック・軽バン)が対象で1台以上あれば申請できます。

➁営業所・休憩・仮眠室の設置

下記に該当する営業所が必要です。

  • 自己所有物件・賃貸物件である
  • 適正な使用権限があり建築基準法・農地法・消防法などに適合した物件
  • 市街化調整区域に該当する場合は対象外
  • 駐車場から半径2km以内である

➂駐車場について

  • 車両が駐車できる広さが確保されている
  • 他は➁の条件と同じ

➃運送約款の設定

運送料金の収受や、責任に関する事項を定めた“運送約款”を設定します。

目的としては、貨物の配送を行うことを示す必要があります。

➄損害賠償能力の有無・運行管理体制の整備

軽貨物事業を運営する上で、適正な管理体制や整備管理能力がなければ認められません。

その為には、自賠責保険や自動車任意保険などに加入していることが必須です。

許可が下りるまでの期間

一般貨物・特定貨物許可は、許可がおりるまで約4〜5か月は必要です。

一方で軽貨物自動車業では届出のみでOKなので、早ければ1〜2日で事業用のナンバーを取得する事ができます。

まとめ

今回は運送業許可の種類をそれぞれ解説致しました。

許可の種類によっては、必要な要件も異なり一般や特定貨物になると事業資金も必要になってきます。

会社によって事業規模など様々で、どの種類が自社にとって一番良いのかを検討してから、許可の申請を行うことが大切です。

運送業許可に関して何かご不明な点などございましたら、専門家である行政書士までお気軽にお問い合わせください。