運送業の許可を取得するには、様々な要件があり全てをクリアしなければ許可はおりません。
その中でも、皆さんが苦戦すると言ってもいい要件の一つが、資金についてです。
運送業は、従業員がいればできるというような業種とは異なり、運営するには大前提としてトラックが最低5台以上は必要になってきます。
それだけでなく、トラックを収容する駐車場や営業所を確保するなど、どうしても費用がかかってきてしまいます。
それでは、必要な資金を集めるにはどのくらいかかるのだろう?何に関する費用が要件の対象なのだろう?とお悩みの方もいらっしゃるでしょう。
そこで今回は、運送業許可を取るための資本金の要件を解説というテーマで詳しく解説致します。
運送業をスタートさせるための資本金
まず初めに資本金とは、会社を設立する際に必ず必要となる資金のことです。
運送業の場合、資本金に関しては必ずこの金額以上という決まりはありません。
ですが、大体平均して会社設立時に必要な資本金の相場としては、300万円〜500万円ほどと言われています。
この金額さえ集めることができれば、許可を取得することができるの?と思う方がほとんどでしょう。
しかしながら運送業の許可を取得する場合、資本金とは別の“事業資金の要件”というものがあり、運送業を運営するために必要な資金を、許可申請時までに確保しておく必要があります。
それでは、一体どのくらいの資金が必要になってくるかを次項で詳しくご説明します。
資金の内訳
運送業の許可を取得する際に、大前提と言ってもいいのが運営するために必要な事業資金を有しているかどうかです。
運送業となると、最低でもトラック5台そしてその分のドライバーも必要です。
その他にも細かい費用を算出し、申請時に事業資金の合計金額を有していることを証明しなければ許可はおりません。
どのような内訳になっているのか詳しく見ていきましょう。
【要件に必要な事業資金内訳】
➀人件費について
- 従業員すべての給与、手当の6か月分
- 役員報酬の6か月分
- 社会保険や厚生年金・雇用保険・労災保険料など全員分を合計した金額の6か月分
➁車両費について
- 車両を購入した場合は、購入費用の全額
- リースの場合は、月々の金額の12か月分
- 分割払いの場合は、月々の金額の12か月分と頭金
➂車両に関する税金について
- 自動車税や自動車取得税、自動車重量税などの12か月分
- 車両にかかる自賠責保険、任意保険の月々の金額の12か月分
➃車両関係の費用について
- 所有しているトラックの台数分の外注修繕費6か月分
- タイヤ・チューブ等の消費本数1本あたりの単価6か月分
➄オイル代について
- 月々の総燃料のリッター当たりの価格6か月分
- 油脂費(オイル代)の6か月分
➅営業所や駐車場について
- 営業所や駐車場に使用する土地建物を購入した場合、購入費用の全額
- 賃貸の場合、月々の金額12か月分
- 分割払いの場合、月々の金額12か月分と頭金
➆光熱費について
- 水道ガス電気代などの光熱費6か月分
- 電話料金、通信費などの6か月分
➇その他経費・設備費について
- 広告に使用する費用の6か月分
- 必要な設備(机・椅子など含む)にかかる費用の全額
➈登録免許税
- 許可を申請する際に必要な登録免許税120,000円
このように見てみるとかなり細かく内訳されており、それだけ運送業を行うことは責任も必要です。ですので、このように細かい部分まで算出した上で、事業資金を有しているかどうかの確認を行っているのです。
それではどのような方法でこれらの事業資金を有していることを証明するのでしょう?
残高証明書について
許可の要件に必要な資金を所有していることを証明するには、金融機関などで発行してもらう“残高証明書”が必要です。
通帳の写しなどでは、認めてもらえませんので注意しましょう。
この残高証明書を取得する際に注意すべきポイントがいくつかございます。
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このように注意すべきポイントがありますので、事前に確認しておきましょう。
残高証明書は2回提出
許可を取得するには、残高証明を2回行う必要があります。
まず1回目は、許可申請時です。
許可の申請を受け付けた日から、大体2〜3か月後に2回目の残高証明書を提出するように求められます。この際に、1回目の金額と変動があってはいけません。
許可を取得するまでは、資金を減らすことはできませんので、そこも併せて注意しておきましょう。
まとめ
今回は、運送業許可を取るための資本金の要件というテーマで解説致しました。
会社を設立するために必要な資本金は、大体の金額があれば認められますが、許可を取得するとなると事業資金が必要です。
運送業許可を取得することは、資金面に関してもこれだけ厳しいということは、それだけ社会的信頼ももちろんですがアップします。
許可を取得したいが、自社の資金内訳があっているか不安な方など、少しでもご不明な点がございましたら専門家である行政書士までお気軽にご相談ください。