トラック運送事業の安全性を評価する基準となる、「Gマーク」というものをご存知でしょうか。
トラックによる物資の運送は、もはや日常生活を送る上で必要不可欠なものとなり、重要な役割を果たしていることは言うまでもありません。そのため、輸送する者の安全性とその判断基準が注目されてきました。
このトラック会社の従業員は頻繁に事故を起こしていないか、荷物の保管をしっかりやっているのか、大切な物を預ける側としては心配でしょう。
そこで、全国貨物自動車運送適正化事業実施機関(公益社団法人全日本トラック協会)は、2003年から、より安全性の高い事業者を利用者が選びやすくするために、事業者の安全性を正当に評価、認定、公表する「安全性優良事業所」認定制度を始めました。
これが、貨物自動車運送事業安全性評価事業(Gマーク制度)です。
こちらではこのGマークに関して詳しく解説いたします。
Gマークとは一体何?
先ほど説明したように、Gマークとは、利用者がより安全性の高いトラック事業者を選びやすくする判断基準です。加えて、トラック事業者の安全性の対する意識向上のために、安全性を判断して、公表する制度のことをいいます。
“G”の由来は、Good「良い」と、Glory「繁栄」の頭文字を取ったものです。
この制度により認定を受けたトラック事業所は、公益社団法人全日本トラック協会から認定証が授与されます。そして認定マークとステッカーを「安全性優良事業所」の証しとして使うことができるようになります。
こうすることで、この事業所は、公式に認められた「安全性優良事業所」である、ということを取引先や、一般消費者等に明示的にアピールができます。自身の事業所が交通安全対策等の取り組みを積極的に行っており、“安全”であることを指標の一つとしてぜひ利用してほしい制度です。
令和3年3月末現在、全事業所の31.2%が安全性優良事業所に認定されています。一度認定されれば、条件を満たせば更新することもできます。
それでは、次頁で申請について詳しく見ていきましょう。
申請資格について
評価対象となるのは、一般貨物自動車運送事業及び特定貨物自動車運送事業の事業所(営業所)です。貨物軽自動車運送事業は評価の対象から除外されますので、注意が必要です。
申請基準日現在で、以下の事項を全て満たす事業所が申請することができます。
①事業開始後(運輸開始後)3年が経過している
②配置する事業用自動車の数が5両以上である ➡①②は全ての申請者に必要な要件です。③④については、以前に一度不正等をした場合に必要となる期間要件です。
③A:虚偽の申請、その他不正な手段等(以下「不正申請等」という。)により申請の却下又は評価の取消しを受けた事業所で申請年度から2事業年度を経過している B:不正申請等により認定の取消しを受けた事業所で、取り消し後2年を経過している
④認定証、認定マーク及び認定ステッカー等の偽造もしくは変造又は不正な使用により是正勧告を受けた事業所で、是正勧告の履行状況が確認と偽変造の物の提出日から3年を経過している |
【申請に係る費用は?】
「申請書作成システム」で申請書を作成し、申請した場合は無料となります。複写式申請書を利用した申請は実費として1,000円(税込み)かかります。
【提出書類】
申請書類は、インターネット、紙媒体により配られます。
安全性評価申請書、自動車事故報告書の写し、役職員名簿など、申請方法によっては10種類もの書類が必要となります。これらをファイルに綴じて提出しなければなりません。
申請にあたり、従業員の個人情報を記載した資料を提出する場合があります。その場合には、あらかじめ当該従業員に情報提供をすることにつき、同意を得なければなりません。
【評価項目】
次の3項目を点数化し、安全性評価委員会による評価が行われます。
①安全性に対する法令の遵守状況(40点)(基準点数32点)
②事故や違反の状況(40点)(基準点数21点)
③安全性に対する取り組みの積極性(21点)(基準点数12点)
【認定要件】
(1)上記①~③の評価点数の合計点が80点以上であること
(2)上記①~③の各評価項目において上記の基準点数以上であること
(3)法に基づく認可申請、届出、報告事項が適正になされていること
(4)社会保険等の加入が適正になされていること
これが全て満たされた事業所に対し、安全性優良事業所として認定、公表されます。
メリット
【国土交通省によるもの】
・違反点数の消去
・点呼の優遇
・補助条件の緩和
・基準緩和自動車の有効期間の延長など
【日本トラック協会による助成の優遇】
【損保会社による保険料の割引】
上記のインセンティブが与えられます。
取引先や消費者等に対し安全性をアピールできることに加えて、上記のようなメリットがあるため、認定による利益は大きいといえます。
まとめ
今回は、トラック事業者にとって有益であるGマーク制度について詳しく解説しました。Gマークは、書類に不備がありますと、評価が実施されません。
書類不備によるGマーク認定がされなかった、取消しがされてしまった、というようなことを避けるために、専門家である行政書士までお気軽にお問合せください。