利用運送事業の事業報告書と実績報告の方法

利用運送事業の事業報告書と実績報告の方法

貨物利用運送事業の事業者は、「事業報告書」と「事業実績報告書」を定められた期限までに提出する義務があります。

 

そこで、ここでは利用運送事業の事業報告書と実績報告の方法について解説します。

1利用運送事業の事業報告書

事業報告書は、事業概況報告書、貸借対照表、損益計算書及び損益明細表をいいます。

 

国土交通大臣又はその主たる事務所の所在地を管轄する地方運輸局長に、毎事業年度の経過後100日以内に提出しなければなりません。

 

事業報告書の書き方について見てみましょう。

 

①事業概況報告書

 

事業概況総括表

・年月日欄は、当該事業年度の始期と終期を記載します。

・貨物利用運送事業の運送機関の種類を記入します。

・経営形態及び資本金、主な株主並びに役員の各欄は、当該事業年度末のものを記載します。

・経営形態については、株式会社ならばその部分を選択します。

・発行する株式の総数(定款記載の授権資本)及び発行済株式の総数を記載します。なお、株式会社以外の場合は、株式は関係がないので記入しません。

・主な株主の欄は、所有株式の多い順に10名を記載し、所有株式数及び発行済株式の総数に対する所有割合を(%)でそれぞれ記載します。合名会社、合資会社及び組合等にあっても出資者名、出資口数などについて株式会社に準じて記載します。

・役員の欄は、取締役(理事)及び監査役(監事)等の役職名(代表権を有する者については代表取締役社長等と明記し、その他の取締役についても専務取締役、常務取締役等と明記する。)氏名、常勤・非常勤の別、所有株式数(又は出資の額)及び発行済株式総数(又は出資の総額)に対する各所有割合を百分率(%)で記載します。なお、役員が多数で当該欄に記載しきれない場合は、当該欄を拡張するか又は別紙にて全員を記載する必要があります。

・経営している事業欄の兼営事業の名称は、当該年度中に経営した兼営事業の全部を記載します。例えば、一般貨物自動車運送事業、倉庫業、港湾運送事業、通関業等経営した全ての事業をその種類ごとに記載してください。

・従業員数の欄は期中の平均従業員数を記載します。従業員数には役員も含めますが、無報酬の非常勤役員等は含めません。従業員数は主として当該事業に従事している人数について各事業ごとに記載し、社内において同一従業員が2以上の事業に従事するような勤務体制をとっている場合は、適正な配分方法により各事業に配分した人数を記載します。

・営業収入(売上高)構成比率については、当該事業者の全事業の営業収入に対する各々の事業の営業収入割合を%で記載します。当該事業年度の途中において、休廃止した事業についても記載する必要があります。

 

②貨物利用運送事業営業実績統括表

・第一種貨物利用運送事業、第二種貨物利用運送事業の区分が困難である場合は、一括して計上することができます。

・営業損益の欄は、損失の場合には金額の前に△をつけてください。

・営業利益率は、「営業損益÷営業収益×100」によって算出し、小数点以下第2位を四捨五入し、小数点以下第1位までを記載します。

 

③貨物利用運送事業損益明細票

・運送機関の種類欄は、貨物利用運送事業を行っている運送機関を全て○で囲みます。

・損益明細票は、運送機関ごとの実績について記載し、必要のない運送機関欄は様式から省略して作成することができます。

 

2利用運送事業の事業実績報告書

実務報告書とは、毎年4月1日~3月31日までの1年間で取り扱った貨物取扱量の実績値を報告するための書類です。提出期限は、毎年7月10日までとなっています。

 

貨物利用運送事業実績報告書の書き方について見てみましょう。

 

①貨物利用運送事業実績総括表

・運送機関別事業実績は、発送に係る取扱量を事業の種別ごとに記載します。

・他の貨物利用運送事業者から受託した取扱量は、該当欄へ外数として〔 〕で記載します。

・第一種貨物利用運送事業又は第二種貨物利用運送事業の区分が困難である場合は、一括して計上することが出来ます。この場合、一括計上した旨を記載します。

 

②国際貨物運送仕向地別取扱量

・仕向地欄は、事業の種別欄に記載した取扱量を仕向地別に細分したものを記載します。

・比率の欄は、合計量に占める仕向地ごとの取扱量の割合を百分率(%)で記載します。

・外国人国際貨物利用運送事業者で、第一種貨物利用運送事業又は第二種貨物利用運送事業の区分が困難である場合は、集計したものを記載します。

3事業報告書・事業実績報告書の提出を怠った場合

事業報告書・事業実績報告書の提出を怠った場合は、100万円以下の罰金(貨物利用運送事業法第65条)が科されるので、提出期限を守って提出漏れがないようにご注意ください。

まとめ

以上のように、事業報告書と事業実績報告書の作成はかなりの負担がかかる一方で、人員を割けない事業者の方は、行政書士に作成を依頼する方も多くなっています。

 

期限前に慌ててしまうことがないよう、前もってご相談されることをお勧めします。