運送業の許可を取得する際に、必ず受けなければならない試験が“法令試験”です。
昔はこのような法令試験はなく、許可さえ取得できれば運送業を行うことができました。
しかし様々な法令を理解しておくことで、適正な運行管理を行うことができ、事故防止等にも繋がります。
現在は、許可申請後に試験を受ける必要があるのですが、一体どのような問題が出題されるのだろう?いつ試験は行われるの?と、様々な疑問をお持ちの方も少なくありません。
そこで今回は、運送業許可の法令試験とは?というテーマで、詳しく解説致します。
なぜ試験を受けるの?
運送業は様々な職業の中で、特に事故と隣り合わせと言ってもいいほど安全面に配慮して行う必要がある業種とも言えます。
かつては、長時間労働をドライバーにさせていた事により、事故につながるケースが多く社会問題にもなっていました。
そこで国土交通省が、労働時間や拘束時間の管理を徹底し、適正な運行管理ができるようにするために“法令試験に合格すること”という条件を取り入れるようになりました。
ですので、運送業の許可を取得する場合は、必ず法令試験に合格しなければ許可はおりません。
必ず試験は受ける必要がありますので、勉強もしておく事が大切です。
試験を受けることができるのは?
法令試験を受けることができる対象者としては、基本的には運送業許可を申請した者が受験します。
法人の場合は、社長もしくは常勤の役員のうち、1名を選んで受験することができます。
個人事業の場合は、事業主本人が受験することになっています。
試験の内容について
試験の内容としては、適正な運行管理を行うために様々な法令の中から出題されます。
運送業に関わりのある貨物自動車運送事業法や、道路交通法・労働基準法・道路運送車両法など、全て合わせると13個の法令の中から出題されます。
13個の法令から出題されるなんて、どれだけ勉強すれば良いのだろう?と不安に感じる方もいらっしゃるでしょう。
実際は、出題難易度も自治体や年度によって異なります。
特に沖縄県では、ここ近年難易度がかなり難しくなったとも聞いていますので、どのような問題が出題されても基本的なことは解けるように、許可を取得しようと思った時期から法令試験を受験する準備や、勉強を行っておくことも非常に大切なことです。
試験はいつ行われている?
法令試験は、年に一度というような試験ではありません。
自治体によっても異なりますが、基本的には許可申請の受付を行った月の、翌月以降で奇数月が対象になっています。
大体は、奇数月の中旬頃に行う自治体がほとんどです。
毎月行っている試験ではないので、その分許可取得までの時間もかかってきます。
その月にうまく受験できるように、スケジュールを立てておくことをお勧めいたします。
合否について
合格したかどうかの結果がわかるのは、受験したその日に分かります。
受験に落ちたら?
法令試験は、通常の試験と異なり2回まで受験することができます。
ということは、1回目試験に落ちたとしても2回目に受ける試験で合格すれば問題ありません。
しかし2回とも不合格となってしまった場合は、一度申請を取り下げられてしまいます。
再度申請を行って受験する必要があり、その分時間や手間はかかってきますので、1回の試験で合格できるようにすることが大切とも言えます。
運送業を運営していく為には、責任のある会社でなければ許可を与えることができません。
非常に大切な試験ということがわかりましたね。
合格の基準について
法令試験は、全部で30問出題されます。
その中で、24問以上正解することができれば合格となります。
また、試験の時間は50分となっています。
合格率はどのくらい?
法令試験の合格率は、年によっても異なりますが大体30%〜50%と言われています。
そう聞くと、かなり難しい試験なのでは?と初めから抵抗を感じてしまう方もいらっしゃるのですが、運送業を運営していくために必要な知識だと思って、勉強すれば大丈夫です。
会社にとっても様々な法令を理解しておくことは、大変為になることでもあるので、頑張って過去の出題問題などを調べて勉強することが大切です。
法令試験が必要ないケース
運送業の許可を取得する際は、必ず受験しなければならない法令試験ですが、試験を受けなくても良い場合がございます。
➀特定貨物自動車運送事業の許可を取得している事業者が、特定貨物事業を廃止した後、一般貨物事業の申請を同時に行う場合
➁一般貨物事業の許可を取得している事業者が、合併・分割認可申請を行い存続する場合
このように試験が必要ないケースもございますので、今後のためにも覚えておくと良いでしょう。
まとめ
今回は、運送業許可の法令試験とは?というテーマで解説致しました。
許可を取得する際に必ず必要な試験ですので、過去の問題などを参考に勉強しておくことが大切です。また、法令試験は奇数月しか実施していないため、1回目の試験が不合格となると2回目を受けることができるのは2か月先になってしまいます。
できるだけ1回目で合格して、早めに許可を取得することができるよう計画を立てて申請を行うことも重要です。
何か運送業許可についてご不明な点などございましたら、専門家である行政書士までお気軽にご相談ください。