運送業許可|営業所と休憩室・睡眠施設の要件を確認
運送業をはじめるにあたって、みなさんが口をそろえて大変とおっしゃるのが、車庫(駐車場)と、営業所・休憩室・睡眠施設を見つけて、契約や申請をすることです。
なぜなら、地域によって規制が違うし、規制がとても多いからです。全て理解するのには時間と労力が必要です。
どういう規制があるのか、知りたい方に向けてこちらでは、運送業許可の営業所と休憩室・睡眠施設の要件について詳しく解説いたします。
営業所とは
営業所は、運送業の本拠地となります。事務所ともいいます。
営業所の設置の要件は、以下の通りです。
①法令に違反していないこと
法令は、都市計画法、農地法、建築基準法などがあります。
②営業所の使用権原を有すること
自分に車庫の場所を使う権利があるということの裏付けが必要です。
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③建物と認められるものであること
営業所は建物でなくてはいけません。建物とは居住、店舗などの目的で利用される土地に定着した建造物であって,屋根,周壁を有するものをいいます。地上に置くだけのコンテナはこれに含まれません。
休憩室・睡眠施設とは
運送業の許可申請では、営業所とドライバーの休憩施設が必須です。
休憩・睡眠施設は、運行から次の運行までの時間が短いなど、ドライバーが仮眠や睡眠と取らないと、十分な休息が取れないような運行計画を予想している場合は設けることが必要です。
休憩室と睡眠(仮眠)施設の要件は営業所の要件と同様です。唯一付け加えられる要件は、睡眠施設は一人当たり2.5㎡以上の広さを確保しなければいけないことです。ただ、時にドライバー全員が寝ることはないので、全員分の面積が必要なわけではありません。
休憩所・仮眠施設は営業所内に設けても問題ありません。ただし、その場合は営業所と休憩所・仮眠施設が明確に区分できるよう仕切りを設けるなどの措置が必要となりますのでご注意ください。
睡眠施設は休憩室と同じ場所に設けても構いません。もちろん、違う場所に設けても問題ありません。
「市街化調整区域」とは
都市計画法によって定められた区域区分のひとつで、環境保全などを目的に、「市街化を抑制すべき」区域として認められた場所をいいます。
この区域は、都市開発を抑える必要があるため、原則として住宅や商業施設などの建物を建てることは禁止されています。
許可を得て建てたとしても、何年か後に、これを改築、立て替えをするときも、開発許可を得て行う必要があります。この開発許可については、自治体によって異なる取扱をする場合があるので、事前に車庫の置かれている(置く予定の)自治体に確認するのがよいでしょう。
【例外】
市街化調整区域であっても、建物を建てることができる場合があります。
①都市計画法が施行された昭和45年11月より前から建物を建設しても良いとされていた既存宅地と呼ばれる場所に建築されていた
②おおむね50戸以上の建築物が連続して建っている
③建築時の建物の用途が「事務所」として建設されているなどの要件を満たすと事務所として使用することが可能なケースがあります。 |
①~③すべての条件をクリアすれば運送業の営業所として使用することは可能となります。ただし、既存宅地にある事務所を使用できるか否かは、市町村ごとの条例なども絡むことが多いためしっかり調査しなければいけません。
プレハブ、トレーラーハウスは?
プレハブなどの簡易な建物やトレーラーハウスを運送業(一般貨物自動車運送事業)に使用する事務所(営業所)または休憩室として登録することは可能です。
市街化調整区域の場合は、基本的にプレハブを運送会社(一般貨物自動車運送事業者)の事務所(営業所)として使用できません。プレハブも建築物に当たるため、市街化調整区域に置くことはできないのです。
トレーラーハウスは市街化調整区域であっても、唯一、運送業の営業所として使用することが可能です(一部地域を除きます)。
まとめ
こちらでは、運送業の方が苦労する営業所、休憩室、睡眠施設について解説しました。
不動産を見に行き、たくさんの法令を調べ、資料を集める必要があるため、かなりの労力と時間を要します。
資料収集や提出、調査などについては専門家である行政書士までお気軽にお問合せください。