運行管理者と安全運転管理者の違いをわかりやすく解説
事業を行う上で自動車を使用するような場面は多々あるかと思います。その際に、運行管理者や安全運転管理者という名前を少なからず耳にするでしょう。
しかし、名前だけ知っているが両者の違いは説明できない、なんとなくしかわからないというような事業者様もいるかもしれません。
そのような方に向けてこちらでは、運行管理者や安全運転管理者の違いについてわかりやすく解説すると共に、その仕事内容と資格要件の観点から詳しく説明していきます。
緑ナンバーと白ナンバーの違い
運行管理者と安全運転管理者の説明に入る前に、予備知識として緑ナンバーと白ナンバーの違いについて簡単に説明します。
まず、緑ナンバーをつける義務があるのは、一般貨物自動車運送事業で使用する自動車です。簡単に言うと、「運ぶ」という行為そのものでお金を稼ごうとする場合、緑ナンバーを取得しなければなりません。
例えば、タクシーでお客さんを乗せ賃金を得る場合や、引っ越し業者のトラックが家具を運搬して利益を受け取る場合、宅配便が荷物を届けて送料を得る場合などです。このように、運搬したものを販売して利益を得るのではなく、自動車で他人のものを運びお金をもらう、ということを行う場合、事業者様は緑ナンバーの車両を使用する必要があります。
一方で、白ナンバーはそれ以外の自動車、つまり自家用自動車につけられます。
マイカーなどはもちろんですが、「自社のものを運ぶ」場合でも、白ナンバーで走行することが可能です。例えば、会社の従業員をバスで配送したり、自社の生コンクリートをトラックで配送したりする場合などです。このように、あくまで用途が自家用であり、自社のものを運ぶ場合は、運搬であっても白ナンバーの車両を使用できます。
運行管理者とは
本題の運行管理者について説明していきます。
運行管理者は、緑ナンバーの車両を使用する事業所に設置されます。緑ナンバーの自動車、つまり事業用自動車運転手たちの指揮をする役割を担います。各ドライバーが安全に運転できるようにするのが運行管理者の務めです。
具体的な業務は、過労運転とならないようなシフトや乗務記録の管理、業務前後の点呼でのドライバーの健康状態やアルコール摂取量の確認、休憩・睡眠施設の管理、安全運転のためのドライバーへの指導・教育などです。すべて自動車運送業の安全のため、なくてはならない業務です。
運行管理者の資格要件
運行管理者になるには、2通りの方法があります。
①運行管理者試験に合格
この試験を受験できるのは、ア)事業用自動車の運行管理に関して1年以上の実務経験がある者、イ)実務経験に代わる講習を修了した者です。
②実務経験
※資格を取得しようとしている業種で、自動車の運行管理に関し5年以上の実務経験がある
※必要な講習を修了している(実務5年間で運行管理に関する講習5回以上・自動車事故対策機構による基礎演習及び一般講習5回以上・5回のうち1回は基礎演習を受講)
以上2点の条件を満たしている方は運行管理者に選任できます。
安全運転管理者とは
安全運転管理者の説明に移ります。
運行管理者は緑ナンバー(事業用自動車)の運行管理を行いますが、安全運転管理者は白ナンバー(自家用自動車)の運行管理を行います。
実際に行う業務は、運行管理者の業務と似ており、運行計画の作成や危険運転防止のための交代運転手の配置など、安全運転のために必要な業務を行います。
安全運転管理者の資格要件
安全運転管理者になるには、まず年齢が20歳以上である必要があります。ただし、事業の規模が大きく、副安全運転管理者を選任する場合は、30歳以上となります。そして、年齢基準に加え、以下のいずれかの条件を満たさなければいけません。
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(役職が課長職相当であり、事業所の従業員を指導や管理できる立場であること)
これらの条件を満たしていても、酒気帯び運転や無免許運転など、違反・事故の前歴を持つ場合、安全運転管理者として選任することはできません。
まとめ
今回は、運行管理者と安全運転管理者の違いについて説明しました。仕事内容の観点から見ると、運行管理者は緑ナンバーである事業用自動車の安全性確保、安全運転管理者は白ナンバーである自家用自動車の安全性確保という点が大きな違いです。
そして資格要件もそれぞれ異なっていることがお分かりいただけたかと思います。どちらを選任すればわからないと困っていた事業者様は、ご自身の事業の形を今一度見直してから必要な方を選任するようにしましょう。
よくわからない、誰かに相談したいという方は専門家である行政書士までお気軽にご相談下さい。