運送業許可の代表者(役員)変更手続きについて解説
許可を取得して運送業を行っている会社では、運営する中で様々な変更が生じる場合がございます。
例えば会社の代表取締役が辞任した場合や、亡くなってしまい新たに役員として就任させる場合など、その理由も様々です。
このように何かしらの理由で役員を変更する場合は、必ず役員変更の手続きが必要になってきます。
代表取締役の変更となると、手続きを行う期限も決まっているので滞りなく手続きを行う必要があります。
そこで今回は、運送業許可の代表者(役員)の変更手続きについてというテーマで詳しく解説致します。
役員の変更届の流れ
会社の役員が何かしらの理由で変更が生じた場合、必ず役員の変更届を行わなければなりません。
手続きを行うには、下記の流れで進めていく必要があります。
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このように、流れだけ見ると手続きとしては容易かと思われますが、法務局への提出書類や欠格事由に該当していないかなどの確認など、行うことは沢山あります。
では、具体的にどのような提出書類や手続き内容になるのか、一つずつ詳しく見ていきましょう。
【1. 欠格事由に該当していないか】
まず初めに会社の役員が変更した場合、新たに就任する者が出てくるかと思われます。
この場合、その役員になる者が以下の欠格事由に1つでも当てはまる場合は、役員になることができません。
(欠格事由)
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この中で何か1つでも当てはまることがあれば、もちろんですが役員になることもできない上に、後になって該当していたことが発覚してしまうと、運送業の許可は取り消されてしまいます。
会社にとってもこのような事態は絶対避けたい部分なので、役員が変更する場合、必ず欠格事由に該当していないことをしっかりと確認しておくことが大切です。
【2. 法務局へ登記簿謄本の変更を行う】
本店所在地を管轄する法務局に、役員変更登記簿謄本の変更を行う必要があります。
会社の状況によって提出書類は様々ですが、主な提出書類は下記の通りです。
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このように書類は様々で、どれが必要になるかは会社ごとに異なります。
法務局への申請は司法書士が行うので、ご自身では難しいと思われる方は専門家に相談しながら行うことをお勧めいたします。
また、この際に登録免許税として10,000円が必要です。
資本金が1億円以上の会社に関しては、30,000円が必要です。
【3. 運輸支局へ変更の手続き】
法務局へ登記変更が終わったら、最後に管轄の運輸支局へ役員変更の手続きを行わなければなりません。
提出する書類としては“一般貨物自動車運送事業の施工規則第44条の第1項の届出書”と、新たに就任する役員が欠格事由に該当していないことを証明するための“宣誓書”を提出する必要があります。
上記でもご説明しましたが、新たに就任する役員が欠格事由に該当していることが発覚した場合、法務局で行った変更登記から削除する作業も新たに発生します。
そうなると登録免許税も再度必要となり、二度手間になるだけでなく運送業の許可まで失ってしまう可能性もあります。
このような事にならない為にも、必ず事前の確認が必要です。
変更手続きの期限について
役員を変更する場合、その役員が代表権を持っているかどうかで、提出期限は異なります。
例えば代表取締役などの、代表権を持っている役員が変更となった場合、延滞することなく速やかに手続きを行う必要があります。
一方で監査役や取締役など、代表権を持っていない役員の場合は、変更が生じてからすぐに行う必要はありません。
前年の7月1日〜翌年の6月30日の間に変更が生じた場合は、翌年の7月31日までに手続きを済ませるようになっているので、一年間で変更が生じた事項などをまとめて毎年7月31日までに行えば良いということです。
役職によって期限が異なり、変更が生じた際によくあることが、翌年までにまとめて行えば良いだろうと思っていたら手続きを忘れてしまった。なんてことも少なくありません。
そのままにしておくと、監査等で指摘され会社の不利益になってしまう場合がありますので、必ず期限を忘れずに滞りなく行うことが大切です。
まとめ
今回は、運送業許可の代表者(役員)の変更手続きについて解説致しました。
提出するだけなので簡単では?と感じる方もいらっしゃるでしょうが、実際は法務局・運輸局に必要な書類を収集・作成して、期限内に提出となると手間がかかる作業でもあります。
そのような際に、皆様に代わって申請を代行できるのが行政書士です。
何か少しでもご不明な点やお困りの場合は、専門家である行政書士までお気軽にご相談ください。