整備管理者は外部委託や外注はできる?
自動車運送業を営むにあたり、整備管理者という名前を耳にしないことはないでしょう。それほどまでに整備管理者は重要な役割を担っているのです。しかしながら、この整備管理者に該当する人が見つからない場合などは、どうすればいいかお悩みの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そのような際にこう思われるはずです。整備管理者が外部委託や外注などできれば解決するのにな・・・と。それでは、整備管理者は外部委託等ができるのでしょうか。
そのようにお悩みの方に向けて、こちらの記事では、整備管理者は外部委託や外注はできるのかというテーマで解説いたします。
整備管理者の外部委託はできる?
日々安全に運送業を営む上でなくてはならない整備管理者ですが、そもそも誰でもなれるわけではありません。
整備管理者として選任するには、整備士の資格を持つ者か、2年以上の実務経験があり、かつ選任前研修を修了している者のどちらかである必要があります。そこで事業者様の中には、「面倒だし、社外の有資格者に丸投げしてしまおうか」と思う方がいるかもしれません。
しかし、残念ながらそれはできません。社外の有資格者の名前を借り、整備管理者として届け出るというような外部委託は法律により禁止されています。実は、平成19年度までは整備管理者の外部委託は可能でした。
そのため、いまだに外部委託できると思い社外の有資格者に依頼しようとしていた事業者様もいるかもしれません。しかし、平成19年度の法改正により、社外の有資格者を整備管理者に選任することは禁止され、事業所ごとに整備管理者を選任するよう義務化されました。
もし届け出されている整備管理者が事業所外の人物であるという事実が監査で発覚した場合、重い罰則が適応されます。具体的には30万円以下の罰金や、行政処分として一定期間の自動車使用停止や事業取り消し、最悪の場合は事業許可の取り消しなどです。
このような重い罰則が定められるほどに、整備管理者の仕事は運送業の安全を大きく左右するのです。きちんと点検が行われているのかを確認するという業務はたまに行えばよいものではありません。事故のない安全な運送のために、事業者様は必ず事業所内に整備管理者をおいてきちんと点検を管理させるようにしましょう。
外部委託ができる例外のケース
整備管理者の外部委託は基本的にできないということがお分かりいただけたかと思いますが、実は外部委託できる例外が存在します。それは以下の条件を満たすグループ企業の場合のみです。
- 委託者、受託者ともにグループ企業内である。
- グループ企業全体で輸送体制を統一するために、安全管理規定や整備管理規定を作成する。
その規定には、判断基準統一のため、親会社が子会社に対して指揮・命令・教育を行う旨を記載する。また、整備管理者が委託者に意見する機会を3か月に1回以上設ける旨を記載する。
- 外部委託することについて委託者・受託者双方の事業主(または事業場の責任者)が同意・承認している。
- 当該事業者が過去2年間で整備管理者選任義務違反とされた者でないこと。
上記4つの条件を満たし、整備管理者選任届提出の際にグループ企業であることを証明する書類を追加で提出すれば整備管理者の外部委託が認められることがあります。
しかしながら、グループ企業がある会社様はそう多くはないと思われます。多くの方は、外部委託ができず、自社で整備管理者の人材を確保する必要があると言えるでしょう。
まとめ
こちらでは整備管理者の外部委託や外注はできるのかについて解説いたしました。外部委託は原則認められませんが、グループ企業の場合は例外的に可能であります。もしグループ企業でなく、社外の有資格者を整備管理者として選任した場合、届出の際には切り抜けられたとしても、監査の時に簡単に発覚してしまいます。そのような危ない橋は渡ってはいけません。
整備管理者になるために必要なのは実務経験と研修の2つのみです。試験を受けるというような時間とお金がないという場合でも選任することができる仕事ですので、事業者様は必ず適切な形で整備管理者を選任し、日々の点検をおろそかにしないようにしましょう。
外部委託ができないことはわかったけれど、整備管理者について、または自動車運動業について、もっと知りたい、疑問があるという方は、専門家である行政書士までお気軽にご連絡下さい。