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貨物軽自動車運送事業で独立開業する場合の手続の流れ
コロナ感染拡大をきっかけに、より通販などの荷物の運送需要が高まりました。今後も配送ドライバー不足の状況は続くとみられており、貨物軽自動車運送事業への多くの参入が見込まれています。
1.貨物軽自動車運送事業とは?
軽トラック、二輪車(バイク)を利用して、貨物運送を行っている事業のことをいいます。貨物軽自動車運送事業を行う場合には、国土交通省に届出をします。
その後、軽自動車検査協会での手続きを経て、軽自動車の営業ナンバーである黒ナンバーの取得をします。黒ナンバーは、黒色の地に黄色の文字で、軽自動車サイズの営業車を表すプレートです。
貨物軽自動車運送は、近距離から中距離の配送業務が主になりますが、遠距離の貸切運送業務もあります。
さらに、引っ越しといったようなサービス提供業務も貨物軽自動車運送に含まれます。
2.貨物軽自動車運送事業で独立開業する場合の手続の流れ
では、貨物軽自動車運送業を開業する際の手続きの流れについて見てみましょう。
①軽貨物車両の用意
貨物軽自動車運送事業に必須の運搬車両を用意します。具体的には、軽トラや軽バンといった軽自動車だけでなく、125cc以上のバイクなどでも申請が可能です。
②運輸支局へ届出
営業場所を管轄する運輸支局に貨物軽自動車運送事業の届け出をします。届け出の際に必要な書類の多くは各運輸支局のWebサイトなどでダウンロードすることができます。したがって、届け出書類収集のために運輸支局へ出向く必要はありません。また、その場で書くと時間がかかってしまうので、事前に用意することをお勧めします。
【運輸支局に提出する必要書類】
・貨物軽自動車運送事業経営届出書
軽貨物運送業の開業を届け出るための書類で、営業開始日や代表者の情報、事業に必要な軽貨物車両、営業所、駐車場等について記載します。
軽貨物運送業を行うための必要事項について記入する書類は、提出用と控え用の2部が必要です。
・貨物軽自動車運送事業運賃料金設定届出書
この届出書と共に、運賃をより詳細に記した「軽貨物自動車運送事業運賃料金表」を提出します。運賃料金表は、運送にかかる料金の詳細や適用方法をまとめた書類です。荷主に対して運賃としてどのくらいの金額を設定しているのかを明確にするため、距離制運賃、時間制運賃、割増料金、車両留置料、運賃適用地域などの諸料金を定めます。ひな形は各運輸支局にあり、相場料金が記載されている場合もあります。
・事業用自動車等連絡書
軽貨物運送で使用する車両について詳細を記入し、事業のための使用を許可してもらうための書類です。事業に供する自動車を増減する時にもこの連絡書必要です。
・車検証のコピー
軽貨物運送業で使用する車が、車検を受け自動車保安基準に適合していることを証明する必要があります。新車の場合は、完成検査終了証など車台番号が確認できる書面を、購入する販売店に請求します。
③軽自動車検査協会に営業用の黒ナンバーを申請する
軽貨物運送では先ほど述べたように、使用する車両に「黒ナンバー」の設置が義務付けられています。
この営業用のナンバープレートを取得するには、必要書類を提出し、運輸支局で登録印を押してもらった事業用自動車等連絡書と車検証、使用中の黄色のナンバープレートを軽自動車検査協会に提出します。
④自動車任意保険に加入する
業務で起こる事故に対し、万一の損害賠償に備えて加入しておく必要があります。
対人賠償保険や対物賠償保険だけでなく、車両保険、貨物保険にも加入することをお勧めします。
⑤開業届を提出する。
開業日から1カ月以内に、管轄の税務署で「個人事業の開業届出書」を提出します。
このとき、節税効果の高い青色申告での確定申告を可能にするために、同時に「所得税の青色申告承認申請書」も提出しておくことをお勧めします。
3.軽貨物運送の開業に必要な条件
軽貨物運送開業のための必要な条件を見てみましょう。
①営業所
営業所の大きさなどの条件は特に設けられてはいません。個人で始めるのであれば、自宅や賃貸でも可能です。
②駐車場
車庫は営業所に併設することが原則ですが、併設できない場合は営業所からの距離が2km以内に収容可能な駐車スペースを設けることが必要です。
③車両
車両は、車検証の使用欄が「貨物」となっている車両が1台以上あればよく、二輪の場合は125cc以上必要になります。
④休憩・睡眠施設
営業所に併設される休憩・睡眠施設が必要ですが、個人の場合は自宅の一室を指定することも可能です。
⑤運行管理体制
事業の適切な運営に必要な管理体制が整備されていることが必要です。運行管理者資格は必須ではありません。
⑥損害賠償能力
万が一事故を起こした場合に十分に損害賠償できる能力を備えることが必要です。任意保険にも入ることをお勧めします。