運送業許可が必要か不要か判断するポイント
運送業の許可を取得するには、厳しい要件をクリアする必要があり、その内容が大変複雑な事もあり、許可を取得することを断念してしまう方も中にはいらっしゃいます。
しかし、どうしても運送業を行いたいと思い色々と調べてみたが内容が難しく、許可が必要なのかどうか判断する事ができない。
このように、自社にとって運送業は必要なのだろうか?とお悩みの方もいらっしゃるでしょう。
そこで今回は運送業許可が必要か不要か判断するポイントというテーマで、詳しく解説致します。
運送業の許可とは?
トラックなどの大型自動車を使って荷物を運ぶ際に、代金が全く発生せずに自社の荷物などを運ぶ場合は、許可は必要ありません。
一方で、自社以外の方から報酬を得て荷物を運ぶ場合は“運送業許可”が必要です。
ということは、他者から依頼を受けて代金が発生して荷物を運ぶ際には、必ず許可が必要になるということです。
運送業許可では、使用する車両や契約方法によって種類が異なり、大きく分けて下記の3種類に分類されます。
➀一般貨物自動車運送事業(緑ナンバー)
運送業の代表的なものとして、よく走っているトラックなどの貨物自動車いわゆる緑ナンバーです。ここでは、軽自動車以外の車両が対象です。
許可を取得するには、細かい要件をクリアする必要があり必要書類を揃えて提出しなければなりません。緑ナンバーの許可を取得する事は容易ではありません。
➁特定貨物自動車運送事業
一般貨物は不特定多数の荷物を運ぶ時に必要な許可です。
この特定貨物は、特定の荷主の貨物を運ぶ際に必要な許可で、1社と契約して運送する場合などが該当します。
➂貨物軽自動車運送事業(黒ナンバー)
ここでは125cc以上のバイクや軽自動車を使用して、運送業を行う場合に貨物自動車登録というものが必要です。いわゆる黒ナンバーです。
大きな違いは、この軽貨物事業は許可ではなく登録を行えば認めてもらえるという所です。
判断するポイント
会社にとって、許可が本当に必要かどうかを判断するポイントは、大きく分けて3つあります。
一つずつ見ていきましょう。
【ポイント1. 他者から代金をもらって運ぶものかどうか】
判断するポイントとして、一番重要なものと言っても過言ではないのが、この代金が発生するかどうかです。
例えば、自社の荷物を代金が発生せずにただトラックで運ぶだけ。というようなケースだと運送業の許可を取得する必要はありません。
一方で、グループ会社の荷物を運ぶ場合なども代金が発生しなければ許可は不要ですが、何かしらの名目で運送代金として受け取っていると、違法になってしまいますので、必ず許可が必要になってきます。
わかりやすいもので言えば引越し業者や郵便局など、運送料を頂いて荷物を運ぶ場合は必ず許可が必要になるということです。
ただし軽車両を除いた大型トラックや車両というところがポイントになります。
【ポイント2. 他者の資材などを運ぶ場合】
建設業界でよくあることですが、現場で使用する他者の資材などを、トラックを使って運ぶ場合はどうでしょう?
運送費用として、代金が発生しないのであれば許可は必要ありません。
しかし、請求書には運送代金として含まれていない場合でも、実質的に別の名目で代金をもらっている場合は許可が必要です。
監査が入った際に指導される場合もありますので、注意しておきましょう。
【ポイント3. 軽自動車で荷物を運ぶ場合】
上記でもご説明しましたが、一般貨物の運送業許可では、軽車両以外の大型トラックなどを使用する場合に必要ですが、軽自動車などの小さい車両を使用する場合はどうでしょう?
結論から申し上げますと、軽自動車を使用する場合は、代金が発生した場合でも許可を取得する必要はありません。
しかし、ここで大切なポイントとして必ず“貨物自動車登録”を行う必要があります。
一般貨物の運送業許可に比べて要件も少なく、免許登録税の120,000円も不要で、軽自動車が1台あればスタートできる運送業なので、通販事業が伸びてきている近年、大変人気のある事業とも言えます。
このように運送業を行う場合は、まず判断するポイントをよく理解して、自社にとって許可は必要かどうかを把握することが大切です。
もしも許可が必要となると、取得までに最短でも5か月以上はかかってきてしまいます。
事業をスタートさせたいと思っている方にとって、いち早く開業したいと思われる方がほとんどでしょう。事前に必要かどうかを判断して、必要な場合はスケジュールを考えながら申請する準備を行うことが大切です。
まとめ
今回は、運送業許可が必要か不要か判断するポイントを解説致しました。
運送代金を頂かずに荷物を運ぶだけなら不要ですが、代金を伴う場合は必ず必要です。
軽自動車を使用する場合でも、登録するには要件をクリアする必要があるので、事前に何が必要かなど把握しておくことが大切です。
許可を取得するということは、言い換えるとそれだけ厳しい要件をクリアして許可してもらった会社として見られるので、社会的信用も大きくなり、今後事業を拡大したいと思った場合にも大変役立つ許可とも言えます。
何か少しでも運送業許可に関してご不明な点などございましたら、専門家である行政書士までお気軽にご相談ください。