第一種貨物利用運送と第二種貨物利用運送の違い
利用運送とは、他者からの運送依頼に応じるため、自らが運送責任を負って、運賃及び料金を収受し、他の実運送事業者(トラック、船舶、航空、鉄道)を利用して行う貨物運送のことをいいます。
そして、貨物利用運送事業には、第一種貨物利用運送事業と第二種貨物利用運送事業の2種類があります。
では、第一種貨物利用運送事業と第二種貨物利用運送事業の違いはどこにあるでしょうか。
1第一種貨物利用運送事業とは
第一種貨物利用運送事業は、他人の需要に応じ、有償で、利用運送を行う事業であって、第二種貨物利用運送事業以外のものをいいます。トラック、船舶、航空、鉄道のいずれか1つの輸送モードを利用して行う運送事業です。
つまり、自らはトラックを使用、運行しない者が利用者(荷主)から運賃を収受し、荷主に対して運送責任を負い、トラックを使用、運行している者を利用してする運送のことを指します。したがって、運送事業者が引き受けた運送を実行するため、その全部又は一部を他の運送事業者に運送させるいわゆる「下請」の行為は元請の事業者は自ら運送を行わないことから利用運送事業を経営する必要があります。
第一種貨物利用運送事業をはじめるには、国土交通大臣の行う登録を受けなければなりません。つまり、第一種貨物利用運送事業は登録制です。
第一種貨物利用運送事業(トラック)の登録にあたっては、申請者が以下の拒否要件に該当する場合は登録を受けることができません。
① 1年以上の懲役又は禁錮の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から2年を経過しない者 ② 第一種貨物利用運送事業の登録又は第二種貨物利用運送事業の許可の取消しを受け、その取消しの日から2年を経過しない者 ③ 申請前2年以内に貨物利用運送事業に関し不正な行為をした者 ④ 法人であって、その役員(いかなる名称によるかを問わず、これと同等以上の職権又は支配力を有する者を含む。)のうちに上記①、②又は③のいずれかに該当する者のあるもの ⑤ 事業に必要と認められる施設を有しない者 ⑥ 事業を遂行するために必要な財産的基礎を有しない者 |
第一種利用運送業登録に必要な書類は、主に以下の書類になります。
①第一種貨物利用運送事業登録申請書 ②事業計画 ③利用する運送を行う実運送事業者又は貨物利用運送事業者との運送に関する契約書の写し ④貨物利用運送事業の用に供する施設に関する事項を記載した書類 ・都市計画法等関係法令に抵触しないことを証する書類(宣誓書) ・登記簿謄本または賃貸約契約書 ・登記簿謄本または賃貸約契約書 ・貨物の保管体制を必要とする場合 ・保管施設の面積、構造及び附属設備を記載した書類] ⑤個人の場合 ・財産に関する調書 ・戸籍抄本 ・履歴書 ⑥法人の場合 ・定款又は寄付行為及び登記簿の謄本 ・最近の事業年度における貸借対照表 ・役員又は社員の名簿及び履歴書 ⑦法人を設立しようとする場合 ・定款又は寄付行為の謄本 ・発起人、社員又は設立者の名簿及び履歴書 ⑧役員が欠格事由に該当しない旨を証する書類(宣誓書) |
2第二種貨物利用運送事業とは
第二種貨物利用運送事業は、幹線輸送(船舶、航空、鉄道)に係る利用運送と、当該利用運送に先行し及び後続するトラックでの貨物の集荷及び配達を一貫して行う事業です。
貨物の流通すべてに対して運送責任を負い、いわゆるドアtoドア輸送がこれにあたります。
第二種利用運送業の許可申請を行うためには、下記の要件を満たす必要があります。
①事業遂行に必要な施設を有すること ・使用権原のある営業所、店舗を有していること。 ・営業所等が都市計画法等関係法令の規定に抵触しないこと。 ・保管施設を必要とする場合は、使用権原のある保管施設を有していること。 ・保管施設が都市計画法等関係法令の規定に抵触しないこと。 ・保管施設の規模、構造及び設備が適切なものであること。
②財産的基礎を有すること 純資産300万円を有していること
③下記の欠格事由に該当しないこと ・申請者が1年以上の懲役又は禁固の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から2年を経過しない者 ・第一種貨物利用運送事業の登録又は第二種貨物利用運送事業の許可の取消しを受け、その取消しの日から2年を経過しない者 ・申請前2年以内に、貨物利用運送事業に関し不正な行為をした者 ・法人であって、その役員のうちに上記の欠格事由に該当する者があるもの ・事業に必要な施設を有しない者 ・事業を遂行するために必要な財産的基礎を有しない者
④集配事業計画が適切であること(集配を他の者に委託する場合) |
3まとめ
以上見てきたように、第一種貨物利用運送事業は登録制で、第二種貨物利用運送事業は許可制という違いがあります。荷主から荷受人までを一貫してサービスをするのが第二種貨物利用運送です。
ご自身の事業が、どちらの運送登録又は許可をとればよいのかわからない場合は、専門家に相談するようにしましょう。