倉庫業許可(登録)を行政書士に頼んだ場合の報酬相場は?
倉庫業の許可(登録)は、数ある許認可申請の中でも難易度が高いといわれています。
そこで、倉庫業許可(登録)申請は行政書士に依頼される方が多いのですが、行政書士に頼んだ場合はどのくらいの報酬がかかるでしょうか。
倉庫業許可(登録)を行政書士に頼んだ場合の報酬相場について見てみましょう。
1.倉庫業開始までの流れ
まず、倉庫業を開始するまでに何をする必要があるのか確認しておきましょう。
①事前準備
倉庫業の登録申請においては、営業倉庫が倉庫業法の要件を満たすかがとても重要になります。したがって、倉庫契約を締結する前に、倉庫業の専門家に相談する方がよいでしょう。
- 運輸局等への事前相談
- 荷主との取扱物品と保管方法について依頼
- 申請予定物件選び・契約
- 建築確認済証、完了検査証、竣工図面などの収集
- 申請予定物件の立地、施設設備基準の確認
- 地方自治体等への事前相談
など
②倉庫業登録申請書の作成
倉庫業登録申請には、非常に多くの書類が必要になります。したがって、申請書の作成・添付書類の収集にも多くの時間と手間もかかります。
③倉庫業登録申請書の提出
運輸局または国土交通省のホームページにあるチェックリストを活用しつつ、必要な書類を確認し、地方運輸局もしくは運輸支局に書類を提出します。
④倉庫業登録の審査
書類提出後、説明聴取・実地調査が運輸局側で行われ、国土交通省の審査が行われます。
要件に合致しない、資料が不足しているなどの場合には、補正指導が入ります。補正指導が入ると一般的に審査期間は延びる傾向があります。標準処理期間は、申請書を提出してから概ね2か月とされています。
⑤審査完了
審査完了後、登録通知書を受領します。
⑥登録免許税の納付
登録免許税として9万円を納付し、領収証書貼付書に納付書原本を添付して運輸局へ提出します。
⑦営業開始
いよいよ倉庫営業の営業開始です。
倉庫管理主任者の選任は必須です。倉庫業法第11条により、倉庫ごとに、管理すべき倉庫の規模その他の国土交通省令で定める基準に従って、倉庫の適切な管理に必要な知識及び能力を有するものとして国土交通省令で定める要件を備える倉庫管理主任者を選任して、倉庫における火災の防止その他の国土交通省令で定める倉庫の管理に関する業務を行わせなければなりません。
【倉庫管理主任者の要件】
・倉庫管理業務に関して2年以上の指導監督的実務経験を有する者 ・倉庫管理業務に関して3年以上の実務経験を有する者 ・国土交通大臣が指定する講習の修了者 ・その他 |
⑧倉庫料金の届出
倉庫料金を設定後30日以内に倉庫料金の届出をします。
2.倉庫業登録申請に必要な書類
倉庫業登録申請に必要な書類は以下の書類です。
危険物及び高圧ガス(第7類物品)、10℃以下保管の物品(第8類物品)以外のすべての物品の保管が可能である1類倉庫の場合を例に見てみましょう。
・倉庫業登録申請書 ・倉庫付近の見取図 ・倉庫の配置図 ・平面図 ・立面図 ・断面図 ・矩計図 ・建具表 ・倉庫明細書 ・施設設備基準別添付書類チェックリスト ・土地、建物の登記簿謄本 ・土地、建物の賃貸借契約書(賃借物件の場合) ・建築確認済証の写し ・完了検査済証の写し ・警備状況に関する書類(警備契約書の写し、警備状況説明書など) ・床や壁の構造計算書 ・平均熱貫流率の計算書 ・倉庫管理主任者関係書類 ・履歴事項全部証明書(法人登記簿) ・会社概要が記載されたパンフレット ・役員の宣誓書 ・倉庫寄託約款 |
2.倉庫業登録の行政書士相場
新規の倉庫業登録申請を行政書士に依頼する場合は、サポート内容によって幅がありますが、30万円~50万円程度かかります。
倉庫業登録の変更登録の場合は、軽微変更だとおよそ3万円~、倉庫を追加するような変更登録申請の場合は、15万円程度かかります。
サポート内容や、実績・経験などによって料金相場には幅があります。したがって、安ければ良いというわけではありません。申請・許可まで比較的長期間やり取りをするので、相談してみて、安心して任せられるという行政書士に依頼させることをお勧めします。
倉庫業を開始するにあたって、行政書士にはいつ依頼したらよいのかとお悩みの方もいらっしゃいますが、倉庫業の準備がある程度整ってから(例えば、倉庫を新築してから、倉庫を借りてからなど)となると、実は倉庫業の要件を満たさない物件だったなどの場合には、大きな損失になりかねません。
したがって、基本的には倉庫の新築着工前、または賃貸借契約締結前からご相談される方が良いでしょう。
倉庫業登録は一度登録すると、更新制度がないので最初の申請が厳しく審査されます。しっかりと準備し、スムーズに倉庫業を開業できるよう倉庫業に詳しい行政書士に相談しましょう。