運送業に使用する駐車場(車庫)の条件について
運送業許可を得るにあたり、ぶつかる壁のひとつに、車庫(駐車場)の存在があります。
大きなトラックで、しかも複数台もあると、駐車場を探すのに骨が折れる、という人も少なくありません。
以前も、また現在も運送会社が使っている場合でも、自分には許可がおりないこともあります。しっかり要件などを知っておく必要があります。しかしながら、なかなか駐車場の条件がわからないという方は少なくないと思われます。
そのような方に向けてこちらでは運送業に使用する駐車場(車庫)の条件について詳しく解説いたします。
第一に重要な要件として
1.営業所からの距離
2.車庫内の広さ
3.車庫の前面道路
4.使用権原
5.区画の明確性
6.法令遵守
上記が最低限満たしていなければなりません。
1.営業所からの距離
車庫(駐車場)は営業所に併設するものであることが原則です。
ただし、土地の状況などから、併設できない場合も当然あります。このような場合は、各運輸局別に定められた距離以内であればよしとされています。
具体的には、関東運輸局管内は、2つに区分されていて、
〇東京23区、横浜市、川崎・・・20キロメートル以内
〇その他の関東及び山梨県・・・10キロメートル以内
と規定されています。
20キロメートルであれば、だいぶ見つけやすいかもしれませんが、全国で、5キロメートルから20キロメートルと幅があるので、チェックしましょう。
2.車庫の広さ
車両と車両の間の距離と、車両と駐車場の壁や境界との距離は、最低50センチメートルは間隔が必要です。車両が停めて、その前後左右に最低50センチメートル以上の空間が必要ということになります。
当然ですが、計画する事業用自動車の全ての台数が入れられることが大前提です。
3.車庫の前の道路の広さ
車両が車庫への出入りに支障のないものであり、出入り口の前の道路との関係において原則、幅員証明書により車両制限令に抵触しないものであることが必要です。具体的には、前面道路(車庫の出入口が面している道路)の幅が下記の長さ以上あるか、もしくは国道であることです。
〇相互通行の場合
2トンクラスで5メートル以上、4トン・大型車クラスで5.5~6メートル以上
〇一方通行の場合
2トンクラスで2.5メートル以上、4トン・大型車クラスで3m以上
車両が余裕をもって出し入れができることは当然ですが、車庫の前の道路が私道の場合は、持ち主、つまり当該私道の通行に係る使用権原を有する者の承認が必要です。
4.使用権原
自分に車庫の場所を使う権利があるということの裏付けが必要です。
自己所有の敷地の場合は、登記簿謄本等の写しを添付すればOKです。ただし、土地登記簿謄本上の所有者が、運送業許可申請の名義人でなければいけません。家族の名義の場合などは、変更しましょう。
自分の土地ではなく、誰かから借りる場合は、2年以上に渡って借りる契約をすることが必要です。短すぎる期間は、使用権原がないとみなされてしまいます。そのため、契約期間が2年以上の賃貸借契約書の写しを添付することとされています。もし契約期間が2年未満の場合は、“自動更新”であることを書けばいいとされています。
借りるときに、賃貸借契約上の使用目的が、「駐車場」や「車庫」などになっていなければなりません。使用目的が「倉庫」「事務所」などになっていたら車庫として事業用には使えません。
契約書には、駐車場として借りているスペースの面積が明記するといいです。
注意が必要なのは、賃貸契約書と幅員証明書に記載されている住所の表記が違う場合です。一方は住居表示で、一方は地番表示で記載されているというような場合です。この場合は、特に変更などは不要で、2つが同じ場所を示していることを宣誓書によって提出すれば大丈夫です。
5.他の用途に使用される部分と明確に区画されていること
車庫を“間借り”することもできます。運送会社の車庫の一部を借りて自分の会社の車庫として許可を取る場合です。
すでに他の運送会社が運送事業の車庫として運輸局から認可を取得している同じ区画では、別の会社が新しく許可を得ることはできません。
そのため、間借りをしたい場合は、まず先に他の運送会社(貸す側)で認可車庫から自分が使用する予定の区画について外す手続きを先に行う必要があります。
6.農地法 、都市計画法等関係法令に抵触しないものであること。
駐車場は市街化調整区域内にあっても問題ありません。
ただし、屋根付きの駐車場やそれを新に作るような場合には、建物として扱われるため、建築基準法、消防法などが適用になり、建築物として適法なものとしなければならず、より厳しい条件をクリアしなければなりません。
駐車場は農地には置けません。使いたい土地が農地の場合には農地転用の手続きが別途必要です。
まとめ
こちらでは、運送業の方が必ず必要となる車庫について解説しました。
事業用の車には厳しい制限が設けられているため、物件を見つけることも大変な場合があります。許可を得るために、運輸支局へ出向くにも時間と労力を要します。
そのようなことを避けるためにも、専門家である行政書士までお気軽にお問合せください。