運送業の営業所を新設・移転する時の要件
運送業をしていると、営業所の場所を変えたり、新しく作ったりすることは多々あると思われます。しかしながら実は制限がたくさんあるため、時間をかけて調査することが必要になります。
間違えてしまうと、その営業所の利用ができなくなってしまうこともありますので、不安に思われる方は多いのではないでしょうか。
そのように不安に思われる方に向けてこちらでは、運送業の営業所を新設・移転する時の要件について詳しく解説いたします。
営業所の新設
今使っている営業所とは別に新しく営業所を設けることを「新設」といいます。増設する場合もこれに含まれます。
営業所の移転
これは、今使っている営業所とは異なる場所に営業所を別に設けて、今使っている営業所は閉鎖し、使わなくするというものです。
認可が必要
運送事業者が上記の営業所の新設、移転をしたいときには、国土交通省の認可を受けることが必要となります。
認可を受けるためには申請しなくてはなりません。申請は、新設・移転先の営業所の所在地を管轄する運輸支局に事業計画変更認可申請書を提出します。
認可の要件は、一般貨物運送事業の許可申請と同じです。具体的には、
・法令違反がないこと(農地法、都市計画法、建築基準法など) ・使用権原を有すること(登記簿謄本又は賃貸契約書) ・適切な広さがあること ・車庫との距離制限内であること |
上記の証明がそれぞれ必要です。
認可されれば、新設の場合はその営業所で営業ができるようになり、移転の場合は新しい営業所で営業できるようになる代わりに古い営業所での営業はできなくなります。
手続
1.運輸局のホームページから、申請書をダウンロードし、記載する。 2,管轄運輸支局の貨物担当窓口に認可申請をする。 3.書面審査(およそ1~3か月かかります) 不備がある場合には、運輸支局から指示がでますので速やかに補正しましょう。 4.認可 5.運行管理者と整備管理者の選任届を提出(新設の場合) 6.車両を登録する(車庫、車検証の手続も必要であれば行います) 7.営業(運輸)開始 |
必要書類
以下の①から⑥は、関東運輸局管内での必要書類です。他の管内では違った書類が必要になる場合もありますので、事前に確認することをおすすめします。
①⼀般貨物⾃動⾞運送事業の事業計画変更認可申請書
②営業所の使用権原を証明する書面
自己所有の場合は不動産登記簿謄本等で足ります。
他者から借りる場合は賃貸借契約書や、使用承諾書などの写しが必要です。
③宣誓書
「法令遵守します」という旨のものと「行政処分を受けたことがありません」という旨のものが必要になる場合があります。
④事業用自動車の運行管理等の体制の書面
⑤営業所の外観と室内の写真、案内図、見取図、平面(求積)図
申請書の提出先:管轄の運輸支局
申請書類の提出先は、管轄の運輸支局になります。
自分の本社がどの支局に提出するかを確認してください。
車庫との関係
もし、営業所を移転して、今使っている車庫との距離が制限を超えてしまうことになったら、同時に車庫も移転することが必要になる場合もあります。また、車庫も移転・増設を考えているのであれば、車庫についての申請手続も必要になります。
トラックの増車、減車も行ったのであれば、別に手続も必要です。
さらに、営業所の移転の場合は、トラックの車検証に記載してある「使用の本拠の位置」もそれに伴い変更が必要です。車検証の変更手続をするため、事業用自動車等連絡書を運輸支局のホームページからダウンロードをして車検証の書換手続をします。
■まとめ
今回は、運送業の方に身近な営業所の新設、移転について解説しました。
移転先の場所の管内での距離制限や、申請方法について調査が必要です。日常業務と並行して調査や運輸局へ出向くのはかなりの手間と時間が必要となります。
資料収集や提出、調査などについては専門家である行政書士までお気軽にお問合せください。